二手法の組合せ
Totsu
では、前述した二手法を組み合わせて、錐線形計画問題を解く。
まずHomogeneous Self-dual Embeddingを施した最適性条件を、少し変数名と形を変えて、以下に再掲する:
⎣⎡0−A−cTAT0−bT0−I0cb0⎦⎤⎣⎢⎢⎡x^y^s^τ^⎦⎥⎥⎤∈⎣⎡{0}n{0}mR+⎦⎤,x^∈Rn,y^∈K∗,s^∈K,τ^∈R+
そして
K=⎣⎡0−A−cTAT0−bT0−I0cb0⎦⎤,x=⎣⎢⎢⎡x^y^s^τ^⎦⎥⎥⎤
とおく。
G を x^∈Rn, y^∈K∗, s^∈K, τ^∈R+ の指示関数とする:
G(x)=IRn×K∗×K×R+(x)={0+∞(if x∈Rn×K∗×K×R+)(otherwise)
同様に F も指示関数
F(y)=I{0}n+m×R+(y)={0+∞(if y∈{0}n+m×R+)(otherwise)
とすることで、元の式を
minimizeG(x)+F(Kx)
と表すことができる。
これにPock/Chambolleの一次法を適用すればよい。
近接作用素と前処理行列
まず
proxF∗σ(y~)==y~−proxFσ(y~)y~−argymin(F(y)+21∥y−y~∥diag(σ)−12)
ここで F は指示関数なので argmin はその集合への射影となるが、
一般には diag(σ)−1 によってスケールされた距離にもとづく必要がある。
しかし {0}n+m×R+ への射影は各要素で互いに独立に分解してよく、
結局 σ に依存せずに
proxF∗σ(y~)===y~−Π{0}n+m×R+(y~)y~−[{0}n+mmax(y~n+m+1,0)]⎣⎢⎢⎡y~1⋮y~n+mmin(y~n+m+1,0)⎦⎥⎥⎤
となる。
次に
proxGτ(x~)=argxmin(G(x)+21∥x−x~∥diag(τ)−12)
は Rn×K∗×K×R+ への射影であり、
Rn への射影(これは何もしなくてよいということ)、R+ への射影はやはり τ に依存せず行うことができる。
また、仮に K=K1×⋯×Kk とした場合、
K∗=K1∗×⋯×Kk∗ となり、
各 Ki, Ki∗ への射影どうしは独立している。
しかし Ki, Ki∗ への射影ひとつひとつは一般には τ によるスケーリングに依存してしまう。
ここで、Ki に対応する τ の成分グループを τi1,…,τit と置く。
これらをすべて等しい値 τi=min(τi1,…,τit) に置き換えれば、等方スケールとなるので、
proxGτ¯(x~)=ΠRn×K∗×K×R+(x~)
と τ¯ に依存しない形にすることができる
(Ki∗ も同様、τ を全体的にグルーピングして置き換えたものを τ¯ としている)。
なお、上記のグルーピングと置き換えにより
∥diag(σ)21Kdiag(τ¯)21∥2≤∥diag(σ)21Kdiag(τ)21∥2≤1
となり、収束条件は変わらず満たされていることを注記しておく。